業務委託契約

雇用契約とは違う業務委託

求人

業務委託

業務委託契約を結んだ者はその企業のため労働することになるのですが、決して雇用されるわけではありませんし、その企業の就業規則を守る必要もなければ 毎日出社してタイムカードを押す必要もありません。 その会社の社員食堂くらいは利用させてもらえるかもしれませんし忘年会に参加して他の社員の方と一緒に乾杯をすることも許されるかもしれませんが、 8時間以上の勤務をしたからといって残業代をもらうことはありません。 この仕事をして欲しいと委託契約を結んで仕事を任されるだけで、完了したらその報酬を得ることができるという契約になります。 毎月決まった給料がもらえるわけでもなく、契約者がどれだけのことをしたのかで報酬の金額が変動します。 依頼者とそれを請け負う者という形になるので、ゴルゴ13をイメージすればわかりやすいかもしれません。 新聞の広告でゴルゴを呼び出して「この依頼を受けてくれないか、報酬はこれだけ支払う」と依頼人が仕事の発注をして、ゴルゴが条件に納得したら 「承りました」とそのお仕事を引き受けます。 委託契約では前金のケースもありますし、腕のいい専門職のゴルゴですから当然先に報酬を支払うことになりますが、一般的な委託契約では完了後・納品後の支払いの方が 圧倒的に多いのでそこは少し違います。ゴルゴが無事に契約どおり報酬に見合う仕事を終わらせたら完了です。 このように仕事を任せて報酬を支払うのが業務委託契約で、このタイプの求人もわりと見かけますが雇用関係は結ばれないということを覚えておきましょう。

事業主扱い

アルバイトやパートタイム、正社員や派遣社員は企業に雇用される労働者なので、労働法の保護を受けることができます。 雇用主の企業に守られるだけでなく法律にも守られているので、あまり無茶なことはさせられませんし度が過ぎると企業が罰せられます。 ですが業務委託・請負といった形態で仕事をする場合には、依頼者から受けた仕事の完成に対して契約で決められた報酬が支払われるので、 依頼者の指揮命令を受けない独立した事業主として扱われることになります。 企業で働くのではなく企業から仕事の発注を受ける個人事業主なので、正社員やアルバイトのようにその会社に縛られることはありませんが、労働者でもないので 福利厚生などの面で恩恵を受けることもありません。 当然労働基準法や最低賃金法、男女雇用機会均等法といった労働者を守る為の労働法は適用されませんし、雇用保険も加入出来ないので委託された仕事が終わった後には 失業手当を受給する資格もありません。 契約した企業からは給与ではなく報酬として金銭を得ることができますが、それも完成品や生産量に応じた出来高制となり、毎月決まった月給を約束されることはないので 事業主の自分が何も成果をあげれなければ報酬もありません。 この形態での契約はよく理解しないままに委託契約を結ぶと自分の考えていた金額を得ることが難しくなるケースも多く、また自分の能力以上の仕事を請負ってしまうと 報酬をまともに受け取ることができないことも考えられます。

契約内容

求人に興味を持って企業と業務委託・請負の契約をしたとしても、もしもその内容や勤務の実態が委託ではなく労働者であると判断されれば労働法の保護を受けることができる場合もあります。 なので仮に委託契約を結んでいるにも関わらずその企業に雇用者のように扱われ、労働を強いられているようなら、一度専門家に相談したほうがいいでしょう。 また未成年者が事業主として扱われる委託契約を結ぶ場合は親権者の同意が必要となりますが、これを無視していた場合も問題になります。 このように書くと委託・請負の形態での契約は仕事をする側に不利な点が多いのかな、と心配になる人もいるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。 労働者として保護されることはありませんがかわりに事業主としてかなり自由に仕事をすることが出来るので、自分の好きな時間に請負った仕事を進めることが出来ますし、 やり遂げたことが報酬に繋がるのが実感しやすく、とてもやりがいを感じることが出来るのでその人の性格によっては普通にアルバイトをしたり 正社員の求人に応募するよりも適していることもあります。 ちなみに委託と似たものに嘱託社員というのもありますが、こちらは本当に社員です。他の社員の就業規則とは異なる雇用契約を結んで勤務してもらいますが、 主に専門分野の職種で定年退職者と結ばれることが多いのが特徴です。 定年なので引退なのだけど、専門職なので後継者がまだ育っておらずその人に辞められたらちょと困るな、という場合に再雇用の手段として嘱託は用いられます。